意匠出願の図面作成で、権利範囲から除外する部分を示す「ディスクレーム」を行う際、文字を破線で表現する必要があることがあります。しかし、普段使っているフォントは塗りデータで作成されているため、アウトラインを破線にすると、どうしても見た目が美しくない…と感じたことはありませんか? 特に画数の多い漢字などは、線が潰れてしまいがちです。
CADの世界では、CAMなどで文字を彫る際に使われる、一本の線で構成された「シングルラインフォント」が存在します。しかし、これは専用フォントのため、イラストレーターなどでは利用できません。
そこで今回は、既存のフォントをベースに、イラストレーターでシングルラインフォントを作成し、美しい破線文字に加工する方法をご紹介します!
なぜシングルラインフォントが必要なのか?
通常のフォントを線種を設定して破線にする方法では、以下のような問題が起こりがちです。
- 線が潰れる: 特に画数の多い文字や小さな文字で顕著です。
- 見た目が不自然: アウトラインの線は二重に引かれるため、破線にすると美しくありません。
シングルラインフォントは、これらの問題を解決し、より美しく、調整しやすい破線文字を作成するために有効な手段です。
シングルラインフォント作成の手順
それでは、イラストレーターでシングルラインフォントを作成する手順を見ていきましょう。
1. フォントの選択
まずは、CADのシングルラインフォントに近い、できるだけ細いフォントを選びます。今回は「超極細ゴシック」を使用します。
2. ラスタライズ
フォントを30ポイント前後に拡大し、ラスタライズ(画像化)します。
3. 画像トレース
ラスタライズした画像を、画像トレースツールを使ってトレースします。この時、必ず「線」を指定してください。「塗り」を指定してしまうと、アウトライン化された状態になってしまいます。
4. 分割・拡張
トレースした画像を分割・拡張します。これで、シングルラインのフォントデータが完成しました。
5. 線の調整
線の太さや破線の間隔などを適宜調整してください。これで、美しい破線文字が完成です。
シングルラインフォントの活用
シングルラインフォントは、破線文字だけでなく、様々な表現に活用できます。
ブラシの適用
シングルラインの線にはブラシを適用できるため、手書き風の文字など、多様な表現が可能です。
まとめ
イラストレーターでシングルラインフォントを作成する方法をご紹介しました。この方法を使えば、意匠図面だけでなく、様々なデザインで美しい破線文字を表現することができます。ぜひ、試してみてください。
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