特許出願でサーモカメラ画像を図面として使用する際、カラー表示ができないため、グレースケールに変換する必要があります。しかし、サーモカメラの一般的なカラーデータ(青:低温から赤:高温)を単純にグレースケール変換すると、温度情報が失われ、温度変化をリニアに表現できません。
解決策の要点:
この問題を解決するためには、色情報を直接グレースケールに変換するのではなく、一度「輝度(明るさ)」に変換し、その輝度値を温度に対応させてグレースケール表示する必要があります。
解決策の基本方針
- カラーデータから輝度情報を抽出: サーモカメラのカラーデータは、各色(RGB)の値が温度に対応しています。このRGB値を輝度値に変換する計算式を使用します。
- 輝度値と温度の対応関係を確立: サーモカメラのデータから、輝度値と温度の対応関係(キャリブレーションカーブ)を把握します。
- 輝度値をグレースケールの階調にマッピング: 確立した対応関係に基づいて、輝度値を黒(低温)から白(高温)のグレースケールにマッピングします。
具体的なアイデアとPhotoshopでの手順
以下の方法を組み合わせて試してみてください。
方法1:チャンネルミキサーとレベル補正の組み合わせ
- カラーデータから輝度を抽出:
- Photoshopで画像を開き、チャンネルミキサー調整レイヤーを追加します。
- 出力チャンネルをグレーに設定し、RGBの値を調整します。(サーモカメラの特性に合わせて調整する必要があります。)
- 輝度値の調整:
- レベルを補正して適切な範囲に設定します。
- レベル補正の入力範囲の黒点と白点を調整し、輝度値の範囲を調整します。サーモカメラの出力する温度範囲に応じて、黒点と白点を設定してください。(最も低温な部分が黒、最も高温な部分が白になるように設定します。)
- 必要に応じて調整:
- 必要に応じて、コントラストを調整します。
方法2:グラデーションマップの応用
- 輝度値の作成:
- チャンネルミキサーを使って、輝度値のみを持つグレースケール画像を作成します。(方法1のステップ1)
- グラデーションマップの作成:
- グラデーションマップ調整レイヤーを追加します。
- グラデーションエディターで、黒(低温)から白(高温)へのグラデーションを作成します。
- 描画モードの調整:
- グラデーションマップレイヤーの描画モードを「通常」にします。
- レイヤーマスクの調整:
- 必要に応じて、レイヤーマスクで効果を適用する範囲を調整します。
方法3:LUT(ルックアップテーブル)の利用
- LUTの作成:
- サーモカメラのメーカーが提供している場合や、自分で作成した輝度値と温度の対応関係を記録したLUTを使用します。
- LUTの適用:
- カラー調整レイヤーで「カラー検索」を選択し、作成したLUTを読み込みます。
- 必要に応じて調整:
- 必要に応じて、調整レイヤーでコントラストや明るさを調整します。
重要なポイント
- キャリブレーションカーブの重要性: 正確な変換には、サーモカメラの出力する輝度値と温度の対応関係(キャリブレーションカーブ)が非常に重要です。カメラの取扱説明書やメーカーのサポートに問い合わせて情報を入手してください。
- リニアな変換: 上記の方法では、輝度値を直接グレースケールにマッピングしているため、リニアな変換を維持できます。
- データ形式の確認: サーモカメラのデータがRAW形式で保存されている場合は、RAW現像ソフトでより詳細な調整が可能な場合があります。
さらに高度な手法
- Pythonなどによる画像処理: PythonとOpenCVなどのライブラリを使って、より精密なキャリブレーションや変換処理を行うことができます。
- カスタムスクリプトの作成: Photoshopスクリプトを作成して、複雑な処理を自動化することができます。
試行錯誤と調整
上記の方法はあくまでも簡易的な変換手法であり、実際にはサーモカメラの種類や撮影条件によって調整が必要です。試行錯誤を繰り返しながら、最適な設定を見つけてください。
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