ものと空間の関連性からデザインは生まれる(デザインの景色シリーズVol.1)

深澤直人Humidifierの構造解説

深澤直人Humidifierの意匠を読み解く

インダストリアルデザイナーの深澤直人はデザインは行動に即応するという知覚のアフォーダンス理論を研究、実践している。
環境からモノの輪郭を導き出す手法により、その空気や雰囲気をもモノを通じてデザインすることが出来るのだという。
人間の意識していないときの行動の中にデザインのきっかけがあることを見い出し、「Without Thought」と名付けた。

きれいなギャラリーやお店の隅に無頓着な加湿機能の機械が置いてあるのは、味気ないなと思ってこれをデザインした。

書籍:深澤直人がデザインする生活の周囲(現代企画室)

深澤直人のデザインする”モノ”は総じて空間に優しい、CMFのデザイン要素を十分に作り込んでいるからなのだろう。
昔は、デザインと言うと売り場で目を引き、自己主張が強いものが多かった気がする。
買ったあとに置き場所に困ってしまった経験がある人が多いのではなかろうか。
最近はシンプルなデザインのものが多くなった気がする、ただし素材や色、仕上げにはこだわりが見られる。
アップル社の元CDOのジョナサン・アイブは好きな日本人デザイナーに深澤直人を上げているという。
情報で溢れた時代にあえて情報を削ぎ落としたデザインが好まれるのは必然なのかもしれない。

注)アフォーダンスという概念は、「環境や物は元から様々な使い方をアフォード(提供)しており、人や動物はその使い方をピックアップ(受取る)する」というもので、これをデザインの世界に持ち込んだのが、ドナルド・A・ノーマンのアフォーダンス理論である。
この理論は知覚のアフォーダンスとも呼ばれ、人や動物が過去の経験則から使い方を「知覚している」環境や物そのものを、「説明なしでも使える分かりやすい特徴を持たせる」ようにデザインする、と解釈されている(参照;https://boxil.jp/mag/a3059/)。

深澤直人デザイン事務所の作品一覧は下記のリンクから参照できます。

https://naotofukasawa.com/ja/projects/